愛を知る
愛ってこういう感じかあ、と思う。
ろくろちゃんをねかしつけようと、布団で二人ごろごろしていた。ろくろちゃんは「ぎゅっ」とすると笑ったことがあったので、寝転がったまま、ぎゅっと抱きしめてみた。
「ろくろちゃん、ぎゅっ」って言いながら寝返りして抱きしめると「キャッ」とか「キュッ」って声を出して笑った。楽しくて、かわいくて、
「ろくろちゃん、ぎゅっ。」
「ろくろちゃん、ぎゅぎゅっ。」
「ろくろちゃん、大好きっ。」
「ろくりちゃん、らぶっ。」とかいいながら、繰り返していたら、
「キャッ」って喜んで、何回も何回も笑っていた。
そして、目をこすりだして、おっぱいを飲んだら寝てしまった。
…か、かわいい。いとおしいって、こういうんだなぁって思う。こんな風にろくろちゃんを大好きと思うこと、思える時間をもてること、そして、今が、本当に大事。大切。ありがたいと思う。ヨン吉くんに感謝。みんなに感謝。
愛ってこういうのかなあ。恋愛とも違う、不思議で素敵な気持ち。
寝かしつけの最後に、ろくろちゃんが暑くないようにうちわであおぐ。見られると興奮してしまうから(ろくろちゃんはうちわが大好き)、目を閉じてしまってから。このときも、満たされる。
お母さんが、「寝るときにこうやって、父にあおいでもらったなあ」ってこの間ろくろちゃんを扇いでた。私も、扇ぐときに、自分が扇いでもらって寝付いたことを思い出す。扇がれるのは、気持ちがいい。でも、お父さんやお母さんがつかれて眠くなると、おでこのところで、うちわがパタッととまる。そうすると「あおいで!」って怒ってた私。それを思い出す。そんなことを思いながら、眠りに吸い込まれていくろくろちゃんをみていると、いとおしいと思う。そして、この愛の感じを、父さんと母さんも、味わっていたのかなって思う。
ヨン吉くんも、寝るときに母ちゃんにあおいでもらったって言ってた。時がたっても、場所が違っても、親が子どもを大切に思うって、こういう感じなのかな。